麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (76)
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 日本全国に8,400ある病院のうち、飯塚病院のような株式会社が経営するものは40くらいです。以前はもっとあったのですが、段々と別法人化されています。現在でも株式会社立病院として経営されているのは、トヨタや日立製作所などの大企業がほとんどである中で、ローカル企業の病院として頑張りたいと思います。
 公立病院の多くは、国からの多額の補助金で経営が継続できています。このような現実もあって、もっと病院マネジメントを強化することで大型節税が実現できるという私の想いもあります。改善活動を広め、看護師を中心にemployee satisfaction (ES)を通してcustomer satisfaction (CS)そしてowner satisfaction (OS) を実現し、明るい職場づくりに繋げたいという気持ちです。
 複数の都立病院が、一病院で年間30億円や40億円といった多額の補助金を受けていますが、それでも黒字化するのに苦労しています。他方で、広島県立病院、山口県立病院、大分県立病院、福岡市立病院などの地方の公的病院の一部は組織を変えたりしながら、毎年の赤字発生額をかなり削減してきています。鍵はリーダーだと思います。首長の意識、意欲が大きく影響を及ぼします。自分では直接経営にタッチしなくても病院経営者、管理者に適任者を送り、応援する姿勢をリーダーが見せることが大事だと思います。総じて公立病院経営の「赤字を脱出しなければ」という危機感は薄いです。
 総務省や厚生労働省もこの赤字を補てんする財源の負担者です。こうした中央官庁の病院経営改善への力入れを期待します。日本では公立と私立が併存している産業分野というのは段々と減ってきています。国鉄の民営化、郵政の民営化が終わり、併存しているのは病院と学校だけだと思います。その二つの大事な事業分野が医療改革、教育改革で課題を抱えています。私は、民間が公立にサービス競争で負けるはずはないという思いを持っています。ただ、この補助金付きの公立病院を相手に生き残りをかけるという難解の課題があります。さらなる経営改善を図っていく必要があります。

 医療分野には優秀なスタッフが沢山集まっています。専門分野だけを深く学んでいるという人も多いですが、病院マネジメントを少し学習し、いかにして自分の科をもっと明るく、魅力のある部門にしていこうかと思い始め、かつ動き始める人が出てきています。院内の優れた科や他の病院、全国のリーダーたちとの比較分析によって傾向と対策を考え動き始めました。
 最近は飯塚病院での研修希望者の中にも、「飯塚病院で経営マネジメントを同時に学びたい」という若手研修医が出てきています。

 飯塚病院の長年の改善活動の功労者は看護師です。そしてコメディカルスタッフ、特に薬剤師のエネルギー、改善実績は凄いです。
看護師は何といっても院内最大の人数で、総従業員数のおお よそ半分を占め、かつ、「縦線が通る」という表現は変かもしれませんが、指揮命令系統がしっかりとしています。それに加えて「もったいない」「無駄を無くそう」という文化、習慣を持ってくれています。そして一番現場を知っています。私は飯塚病院の看護師に感謝しています。看護師を誇りに思っています。本当にあの忙しさ、あのストレスの多い日々を乗り越えて、患者や医師等病院スタッフと交流しながら職場を明るくリードしてくれています。この大きなパワーをもって、病院経営改善にいかに参加・貢献してもらうかは院長、リーダーの仕事次第です。すべての組織はやはりリーダーのビジョンと魅力が大事なポイントなのです。

2019.04.19

麻生 泰