麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (55)
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 前回に引き続き、日本の医療現場をもっと明るい、魅力のある職場に変えていこうということを書いてみます。というのも、公的病院の補助金が毎年約1兆円もあるのを削減していくことで、もっと他の投資先に回してもらう。あるいは、病院が健康寿命を伸ばすことや健康チェック機能を持つことによって、世界の中で高齢者社会を先導し、国の病院が予防面でも役立っていく。さらには、病院従業員満足度の向上に力を入れることなどのヒントになればと思っています。

 VHJ(Voluntary Hospitals of Japan)研究会という、全国のリーダークラスの30病院の組織で定期的に理事長クラスが会合をしています。参加者は医療の質と経営の向上に熱心であり、そして研修教育に力を入れているという類似の使命感を持った理事長、オーナーが多いように思います。

 先日の会合で、ある病院の現状報告に非常に興味を持ちました。地域の救急救命センターを担当しているのですが、その地域には他に救急に対応できる機能を持っている病院がないのでその病院ですべての救急患者を受け入れているそうです。私たちが、「満床の際はお断りをされるのでしょう」と質問すると、今までにそうしたケースはほとんどないとのことでした。というのも、救急患者が今から入ると分かると、病床管理センターの担当者が画面を見て、翌日に退院予定の患者さんがいれば夕方であっても予定変更をお願いして前日に退院をしてもらうという行動をとられるということです。私は凄いことだと思いました。私たちも救命センターを運営しているのですが、申し訳ないことに満床で救急患者さんを引き取れないでお断りをするということがあるからです。その病院は住民の人達に認められているということで、地域住民にとっても明日は我が身であり、病院が頑張ってくれているのは熟知しているので、夜であっても、「申し訳ないですが・・」と病院側からお願いされると移ることに協力してくれるという関係ができているのです。

 この病院の経営数字もすばらしいのですが、院長が、「やはり住民の理解と従業員満足度の高いことが経営にとって大事な要素です」と言われました。私も、早く第3冊目の病院カイゼンのヒント集、『明るい病院改革』を出して、病院の従業員満足度向上への動きが生まれるようにしたいです。病院のマネジメント向上によって従業員の明るさ、向学心が上がっていくカイゼン活動の展開です。それは患者満足度の向上に結びつき、かつ、経営者満足にもつながると思います。公立病院のオーナーである国や市町村も赤字の減額につながり、そのことは納税者たる国民の満足度の向上にもなるという流れができればすばらしいことだなと思っています。

2018.06.11

麻生 泰