麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Let’s move Japan forward from 九州! (9)
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 次は九州が与えられている恵みの多さです。ここでは、九経連の使命に繋がる背景として、九州だけに限らず日本国、そして日本人に与えられている幾つかの強みも含んだ恵みについて記してみます。

 まずは地理的な恵みです。「煮詰まる日本 伸びゆくアジア」。これは動かない事実です。そのアジアに九州は近い。こんな巨大な伸びゆく市場に近いこと自体が大きな財産です。事実、インバウンドは異常といえるほどの数値で伸びています。
 今回の熊本地震で一時的にはがくんと減ることになりますが、4月中に鹿児島と博多間が復旧したというのは、さすがは日本の技術力だと思いますし、まさにJRグループの懸命な努力とチームワークの成果といえます。このことは、一旦目標をシェアすると、チームワークを発揮して頑張る日本人ならではの強さが見事に示されたケースです。
 海外からの観光客に対して、『少々うるさ過ぎる』という批判の声も聞こえていましたが、今回の地震の影響で観光旅行のキャンセルが多数発生している中で、来日観光客の有難さ大事さに気付きました。

 九州と同じように自然を観光資源とする北陸や、東北の観光地ではこのようなインバウンド効果は大変低く、これも地理的条件が大きく左右しているようです。
 日照時間が長いというのも九州の恵まれた点です。野菜、果物が美味しく、大量に収穫できる。海外がこれほどまでに九州の農水産物を購入してくれるとなると、意欲のある第一次産業の従事者は家業に力を入れ、国内の一億人だけを対象にしていたときよりも生産は拡大していくのではないかと密かに期待しています。
 伸びが期待できない家業の将来を悲観して都会でネクタイを毎日締め、通勤列車に日々耐え、コストの高い生活圏でサラリーマンをしている農家の後継ぎたちもこれからインターネットを介して国内外の販売ルートの開拓も進み、家業の売上も伸びるとなると、少しずつ九州の地元に戻ってくるという流れも起こると思います。まさに、地方創生の街づくりモデルが九州は出来るのではないでしょうか?
 農業はそうなると遊休地、休耕田の再活用が進み、機械化、自動化、大型化への投資が進んでいくでしょう。さらに将来的には大手企業も資本参加してくることを願います。

 九州では林業も元気です。韓国や中国への輸出が伸び始めました。両国とも経済力がつき、スギやヒノキの香りのする住宅を建設し始めています。バイオマス発電の開始により、資材として伐採した際に発生する不要な小枝類は、今や燃料源として新たな収入になっています。今までは処分コストだけかがかっていたことを考えると、単純に考えてもメリットは倍増します。
 また、「農家が減反している休耕田を植林地に出して貰いたい、そこに栴檀の木を植えて養蜂業を行い、毎年収入を得て30年くらいしたら伐採して売却する」ということを言われている方もいるそうです。何も急傾斜地でなんか植林をしなくても、平坦地で植林が出来るなら、コストもリスクも少ない。そのうえ、スギ、ヒノキと違って収穫した蜂蜜で毎年現金収入を得ることができるということを言われていました。

 養殖漁業も九州は強いです。全国4割以上が九州から海外へ輸出されています。有名な「近大マグロ」をはじめ、今では養殖の美味しさも国内外の消費者に認識され、九州の業者も精力的に輸出を展開しています。海外とのビジネスですので九経連も手伝います。政府へのお願い事項も多くありそうですが、国も非常に前向きに一次産業の販売市場拡大を支援しています。
 また、煮詰まる日本市場だけを相手にしていては次世代が家業に戻らないことになるのでアジア、北米、そして欧州にも輸出を考えている元気な若手社長や漁業組合もあります。大いに実績を出してダイナミックな養殖業を九州から伸ばしたいものです。

 こうした九州ならではの恵みの多さに加え、日本人が保有するブランド力、信用力、業務の改善意欲、結束力、平和、安心等、先輩達が築いてくれた強みが残っている間にこれらを活用することで、産業を伸ばしていくことができます。
 スピードを上げて九州からの明るい実績を出して日本を動かさねばなりません。

2016.05.20

麻生 泰