麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (52)
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 3つの満足度の中で一番興味があり、やりがいのあるのはES(employee satisfaction)です。特に看護師の満足度の向上に寄与でき、役立ちたいと思っています。全国に200万人いる医療スタッフのおよそ半分の100万人が看護師です。3年間、あるいは4年間の看護学校を卒業し国家試験に合格してから病院勤務が始まるのですが、2、3年間でおよそ1割の新人看護師が退職します。半分は他の病院に転職しているようですが、残りの半分は看護師以外の職種に変わっています。看護への想いを持ち、国家試験を通過後、何故そんなにも多くの人が看護師という職業を放棄するのか。毎年おおよそ5万人の新人看護師が生まれ、3年後にはその5%の2,500人ほどが離脱します。一つの看護学校で一学年に50人の学生を持っているとすると、50校の看護学生が3年、4年の教育課程修了後2〜3年の内に職業放棄しているということです。何か職場に問題があるはずです。飯塚病院の退職率は全国平均の半分以下で今のところ推移しています。

 飯塚病院のスタッフは、本当に強い学習意欲を持ち、カイゼン運動への参加で経営を支援してくれています。自分たち自身でも職場改革を進めており、「セル方式」という業務効率化の方法を導入し、ナースステーションでの事務処理時間を大幅短縮しました。1日の業務に要する歩数を大幅に削減し、帰宅時間を30分早めることに成功しています。例えば、「18時に自宅で夕食を食べよう」という非常に分かりやすい目標を設定して現在はそれに近づいています。

 少子高齢化社会の下で看護師希望者は当然減っていきます。ヘッドハンティングによる転職が増えると、ESの進んでいない病院での看護師確保は更に大変になると思います。日本人が他国になく常識としている「無駄をなくす」という考え方を身につけている事をESに活用していきましょう。もっとカイゼン活動が全国の病院に広まり、明るい職場づくりに力を入れていかなければ、少子化社会下で医師をも含め医療職自体に対しての魅力の減退が進むのではないかと思います。
 
 在宅医療、在宅看護やリハビリといった新しい活躍の現場が増えています。自分たちの病院経営にカイゼン文化を導入していくことで、やりがいも貢献度も高い医療職という仕事で「生涯学習、生涯現役、生涯収入」という魅力あるポストを作っていくことができるのです。特に1兆円の補助金が毎年出ている公立病院の運営において改善マネジメントを導入することは非常に大事な判断だと思います。

2018.04.20

麻生 泰