麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Let’s move Japan forward from 九州! (17)
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 動かない、動かせない理由を口にする人は多いですが、その間にもじり貧の日本丸の経済的地位は落ち続けているのです。500兆円の国内総生産額は、約20年間横這いで、全世界でのシェアは、1990年の13.6%から2015年には6%にまで落ちています。日本経済がいわゆる『失われた20年』で停滞している間に、当然の結果ですが世界は伸びました。それにもかかわらず、経済界の現役リーダーたちには危機感が無く、迫力も不足しています。

 その中で、九州の第一次産業は動き始めました。私は、九経連会長として宮崎農協の羽田会長にお会いし、「次世代が地元に戻る為には、海外に日本の農産物を輸出して収入を増やし、コスト削減も工夫して手取り額を増やすことです。先行きに希望が出てくれば若者たちが家業に戻ってきます。」というお話をさせて頂きました。そして、熱い想いで香港市場に営業に行ったのが3年以上前のことです。

 一回目の訪問で商売上手の相手にやり込められた羽田会長は、農産物の供給力を拡大するための国内の生産者との交渉に出向きました。今では、九州各県のJAのリーダー方が取組みに参画され大きなビジネスに成長し、昨年には、海外との輸出取引を扱う九州農水産物直販株式会社も設立、軌道に乗り始めました。輸送中の様々なトラブルや、新しい商品の出荷を増やしていく中での、諸々の書類作り等苦労は絶えませんが、今では野菜、果物の売上高が月額で4,000万円に迫る勢いです。
 今後は香港市場のみならず、新たにシンガポールなどの大きな消費地に輸出していくことで、ボリュームはますます増えていくでしょう。
 
 煮詰まる日本市場だけを頼りにしていても、人口減少に加え高齢者が増えるということは、一人あたりの食べる量が減るのです。野菜や果物の生産者にとって、国内の狭い市場だけを相手にしていても、販売単価の面やコスト面での先行きの厳しさを避けることは出来ません。供給過剰の為に、立派に育った大根をトラクターで踏みつぶしたり、大量に獲れた養殖魚の供給を制限することなく、売り先を海外に向けることが出来れば、日本の強みである、質の管理がしっかりとされている食料を大量に生産することが出来るのです。

 今までの実績から、日本食品は国際的なブランド力があり、海外市場からの期待は大きいです。それは先輩たちが築いてくれたお陰です。ただ、売る力が弱いので、海外市場での良きローカルパートナーを見つけることが大事だと思うのです。今後は販売力をもっと強化しなくてはなりません。
新しい挑戦をしているのですから当然、解決していかなくてはならない新たな課題が発生しますが、大きな事業を始める時にはつきもののこれらのことは、諸先輩たちが乗り越えてきた道でもあります。前向きな気持ちで課題に対応していって貰いたいと思います。

 動かなくてはますますジリ貧になっていくだけです。動き出せば悩ましい課題は生まれますが、これらは改革者には避けられない道なのです。また、NATOと揶揄される日本人ではなく、行動を決意した者ならではの解決すべき課題なのです。先駆者としてはしんどい段階ではありますが、海外のお客様が日本品を買いたいのですし、日本の技術やまごころは、こうした課題を解決していく力があると思います。九州の農業は動き始めました。早く生産に追われるような時代が来ることにならないものか。そうなるように私たち九経連は役立ちたいと思っています。

 次世代が農業に戻ってくれば、また新たな面白いアイディアや提案が生まれて来るでしょう。今から楽しみです。九州の農業が動き出すことで、日本全体の一次産業を元気にしていきたいものです。私たちは売る力を強化し、農業の従事者は広がった販売市場に向けて大いに生産を伸ばして欲しいと思います。

2016.09.20

麻生 泰