筑豊随一の桜の名所として知られる勝盛公園は、飯塚市の市街地からも近く、近隣の小学校が必ず遠足で訪れるなど、市民に親しまれてきた都市公園です。ソメイヨシノ(約450本)やツツジ(約1万本)が咲き誇る春には、遠く県外から足を運ぶ人も少なくありません。
勝盛公園の前身である勝盛山公園ができたのは大正10年のこと。まだ地方都市に公共の公園があること自体が珍しかった時代に、頂上に宮地嶽神社を持つ小高い丘に遊歩道や植栽などを整備した4896坪の公園としてスタートしました。勝盛公園が現在の規模になったのは、昭和になってからのことです。昭和10年1月、麻生の2代目・太賀吉が、昭和8年12月に亡くなった初代・太吉を記念して、市営勝盛公園に隣接した8895坪の土地を飯塚市に寄付。「櫨山(はぜやま)公園」として開放しました。私利私欲のためでなく、地域の発展と地域住民の生活の向上を心から願い、さまざまな活動を行っていた太吉は、筑豊の人々に信頼され、尊敬された人物でもありました。櫨山遊園地が完成した当初は、太吉を慕うたくさんの人々が足を運び、穏やかなひとときを楽しんだことでしょう。
その後、戦後の一時期には小動物園やミニSLなどまで備えた公園として広く愛された櫨山遊園地は、昭和32年に「かつもり公園」と名称を変更します。さらに昭和37年には、旧勝盛公園との一本化に伴って「勝盛公園」と改称。現在では動物園もミニSLも廃止されていますが、昭和54年からは石炭輸送で活躍したSL を展示するようになりました。こどもたちの人気を集めるSLは、炭鉱の町として栄えた筑豊の歴史を、現在に、そして未来に伝える役割を果たしています。
朱塗りの欄干が目を引く指月橋、水鳥が遊ぶ池、四季折々の花……。勝盛公園は、筑豊のオアシスとしていつまでも愛されていくはずです。
勝盛公園
住所:飯塚市片島1-607-1
電話:0948-22-5500
開園時間:通年、24時間
入園料:無料
駐車場:あり(70台、無料)