飯塚市を代表するイベントとして知られる「雛(ひいな)のまつり」が、今年も開催されました。平成13(2001)年にはじまって以来、公家の風俗を再現して上流階級に好まれた豪華な「有職(ゆうそく)びな」から、人形を飾るスペースのない炭鉱住宅で壁に掛けられた質素な「ひな軸(掛け軸びな)」まで、さまざまなおひな様を紹介しています。
麻生も、地元との交流をより深めるため、また一般のみなさまに明治・大正期の代表的な大邸宅の建築に触れていただくため、雛のまつりに参加しています。平成15(2003)年の第3回から、会期中に、麻生と麻生グループ各社のクラブ「大浦荘」を公開しています。
5年目となった今年は、2月21日から3月3日まで10日間にわたって大浦荘を開放しました。建材から細部のつくりにまで贅をつくした和風入母屋書院造りの邸内には、特別公開中、人形研究家・瀬下麻美子さんのコレクションの一部を展示。かわいいおひな様や色とりどりの手まりが飾られた大浦荘は、連日大勢の来場者で賑わいました。雛のまつりの認知度が高まっていることもあって、大浦荘への来訪者も年々増加し、今年は1万333人もの方に足をお運びいただいたのです。県外からお越しいただいた女性からは、「大浦荘の公開を、とくに楽しみにして来たんです」という嬉しい声も寄せられました。
また特別公開中の大浦荘では、トークショーを2日間開催。瀬下麻美子さんによる「ひな祭りよもやま話」では、ひな祭りの起源にはじまり、人形の並べ方、筑豊のひな祭りの特徴まで、知っているようで意外と知らないひな祭りのあれこれをお話しいただきました。筑豊ゆかりの歌人・柳原白蓮のエピソードにからめながら、九州の炭坑主・伊藤伝右衛門の人柄や伊藤家が行った地域貢献を紹介する「白蓮特別講演」では、元飯塚市歴史資料館館長・深町純亮さんが豊富な知識を軽妙な語り口で披露。毎年恒例の講演にもかかわらず、「前にも聞いたけれど、とてもおもしろかったので、また聞きたい」という方もいらっしゃるほどの人気ぶりでした。各回とも先着100名のお客様にご観覧いただく予定でしたが、立ち見のお客様もみえたほど、たいへんなご好評をいただきました。