麻生の足跡

宝満宮 参拝隧道

麻生の足跡−地域とともに−
宝満宮 参拝隧道(後編)
 太宰府天満宮の境内奥から「竈門神社(かまどじんじゃ/別名:宝満宮)」へと抜けるトンネル。麻生太吉が昭和3年に寄進したものですが、このトンネルの建設をめぐっては、もうひとつ説があります。

 天満宮境内のいちばん奥に、「お石茶屋」という茶店があります。この茶店を営んでいたのは、「お石さん」と呼ばれていた江崎イシさん。色白のべっぴんさんとして広く知られていた女性で、筑前三美人のひとりにも数えられたほどでした。「お石さんに惚れた太吉が、竈門神社の近くにあるお石さんの自宅と茶屋との行き来のために茶屋の脇に掘らせた“愛のトンネル”だ」というのです。そのため、「宝満山 参拝隧道」というプレートがあるにもかかわらず、地元では「お石トンネル」と呼ばれています。
 お石さんは昭和51(1976)年に亡くなりましたが、晩年「ずいぶん昔から麻生さんとのことをいろいろ言われてきましたが、麻生太吉さんは敬神の心の篤いお方でしたから、竈門神社への近道としてトンネルを寄進されたのです。若いころはむきになって否定してきましたけれど、伝説にも超越した心境とでも言いましょうかね」と笑っていらしたそう。

 ロマンチックな伝説さえ残したこのトンネルは、竈門神社の参拝道として、地元で暮らす人々の生活道として、今でも大切にされています。

宝満宮 参拝隧道
通行自由

お石茶屋
住所:福岡県太宰府市宰府4-7-43(太宰府天満宮北神苑)