麻生泰のメッセージ

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(137) 「健やかに老いる」
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 健康寿命を伸ばす。これは40年くらい前に、私の岳父の武見太郎先生が当時日本医師会会長だった時代から口にされていた言葉で、私は良く覚えています。「健やかに老いる」という表現でした。このスローガンを実現することは実に重要で、このコラムのタイトルとも深くリンクします。
 少子高齢化社会は日本の直面している大きなテーマです。少子化の問題は実に難解で、かつ非常に重要であり政府がもっと真剣に解決に向けて取り組むべき課題です。フランス政府が20年前くらいから少子化問題解決のためのインセンティブを数々出し、第三子が生まれると一番目、二番目の子どもの授業料を安くするなどの施策によって成果を出しているのに、どうして優秀な我が国のお役人はこうしたアクションをしないのか分かりません。こういった他国の成功例をコピーしていくのも良いと思っています。
 他方、高齢化社会に関しては日本の強み、魅力づくりに成り得ると私は思います。私がこんなことを言うと、若い頃の私を知る同級生たちからは「麻生が良く学習なんて言うよ」と言われると思いますが、生涯学習、生涯現役、生涯収入というのが健康寿命の大事な要素だと思います。
 定年を65歳に少々伸ばしていく流れが出来てきていますが、75歳くらいになっても健康で、意欲のある人は働き続けることが一番の健康維持であり、「健やかに老いる」条件が充足しています。飯塚で床屋さんに行っていますが、77歳と76歳の夫婦で経営されていて、今日もお客さんが一杯でした。ご夫婦の長男は事業家として飯塚で成功していますし、しっかり者の次男が店の柱になって来ていますが、この夫婦がカミソリやハサミを使い、日曜日など忙しい時には8時間くらい休みなしで働いているのだと思います。元気な夫婦です。
 生涯現役であるためには学習をし続ける必要が出て来ると思います。勉強をしたり、本を読んだり、書いたりすることが健やかさを維持し続けるために非常に大事です。学習テーマを持つ、ライフワークを作るということの重要性を体感しています。
 私は75歳。人生90年時代、最近では100年とも言われています。90年としても、私は六分の一まだ残っています。100年で考えるとまだ人生の四分の一あります。これを24時間の時計で考えると、人生90年なら75歳は夜の8時です。或いは100年とすれば、夕方6時という勘定になり、これからまだ時間が十分残っています。45歳の方はまだ正午ということです。これから午後の長い時間をどう過ごすのか。過ごすテーマをしっかりと持っている人と、ダラダラというか特段目標、志がないまま午後の時間に入り45年間を過ごすのか。
 お百姓さんが元気に畑で働き続け、最後の1、2年間だけ横になるというケースが多いと聞きますが、まさに生涯現役人として天候状況、苗や種の状況を見て対応し、常に学習しながらこなしていく日々であることから、日々仕事があるということも健康寿命の長さとリンクしているように思います。この面でも土が身近にあり、野菜や花を作っている人が多いというローカルアドバンテージが存在しているのです。

2021.10.20

麻生 泰