麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす!
Move Japan forward from 九州!
(170)先を読む大切さ
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 私のライフワークはH2E(ホスピタルマネージメント、ヘルスケアネットワーク、エデュケーション)です。これは何度もこのコーナーで報告しています。ホスピタルマネージメントとして、飯塚病院が競争力を持ち、改善活動の積み重ねで、「医療の質と経営の両立」を目指して現在成果が出ています。だからこそ飯塚病院の経営改善を公立病院に広め、窮地に有る国の財政負担削減に役立ちたい。そしてヘルスケアネットワークも飯塚市で良いモデルを作り高齢者社会先進国の中でも進んでいる筑豊の魅力を語れるようにしたいという目標が待てるのです。
 かつての飯塚病院は、病床数こそ今と同じ約1,000床でしたが、当時の総医師数は47名でした。武見太郎先生に、これだけの規模で研修教育指定病院に成っていないとはと叱咤され、動きはじめました。先生には、若手の研修医にはフルローテーションで多くの科で勉強するコースを作ると良いという総合診療への道を教えてもいただきました。福岡県からの救急救命センター開設要請に対しては、病院全体のアクティビティーが上がるメリットが有るとの助言を受けました。また頴田病院取得の時は、飯塚病院の先行きに危機感を持たれた田中二郎院長(当時)の強い申し出から動いたのです。
 こうした先行きを読んでの助言を貰い、英語が苦手な医師も積極的にボストンに勉強に行きましたし、複数の看護師が九州大学へ資格を取りに通学してくれました。頴田病院の本田院長も強い思いを持って院内から手を上げられ、頑張って尖がりを作られています。

 日本の先行きが実に暗い要素が多い中でこれからの病院経営、そしてその中にいる飯塚病院を考えると緊張感が有ります。人口が減る流れは止まらず、国の債務は膨らむばかりで1,200兆円を超えました。これはGDP比で世界一の借金額です。このような状況下では当然、診療報酬の引き上げは難儀だと考えます。
 このような中でIT化やDXへの流れが起こることは間違いなく、飯塚病院はその分野においてそれほど先頭を走っている訳ではないことを感じていました。先日、年に一度のVHJ研修会が地方病院で開催されましたが、ここも10万人位の人口の中で、生き残り策として尖がりを待つことの大切さをオーナーリーダーが知り、IT化を強烈に進めていました。そのレベルの高さは参加した飯塚病院の多くのスタッフも体感してきています。デジタル化によって遠隔診療ができる他、院内の各職場の効率化が進みます。チャンスも有りますし、ピンチにもつながる重大要素です。

 人口が減っていき、市場は間違いなく縮小する中で飯塚病院が勝ち残るには
● 病院が強みを持っていて遠方からでも患者さんが受診に来る。
● 健康な人がもっと健診他健康管理に興味を持つようになり、自己の健康チェックをする。
● この検査、この部位の手術で有れば飯塚病院にというような強み、尖がりを持つ。
● 飯塚病院のまごころ医療、まごころサービスの魅力が非常に強い。

等が必要に成ると思います。デミング賞を受賞し、ますます改善活動の成果を出していく中で、明るく、積極的な挑戦をしていきましょう。その前提としてしっかり先行きの流れを読むことです。特に技術面の動向が注目点だと思います。ここでも乗り越えていき、二つのHのテーマを私達がリードしていきましょう。


2023.03.09

麻生 泰