麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (84)
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 捕鯨が再開されました。今までの主張が通らないことから見切りをつけて、日本にしては珍しく国際世論に対抗する形で、国際捕鯨委員会を脱退しての決断です。
 私の個人的意見ですが、日本は正しい決断をしたと思います。捕鯨事業を守る、技術を維持する、既得権益を保持するということもあるのでしょうが、「可哀そう」「動物を殺すのか」という愛護団体の感情論的な捕鯨再開反対の主張に同調し続けていくことには問題があると思います。大きな魚の食料となる小魚の保護が私は非常に大事だと思います。クジラの毎日の餌の量は桁が違います。クジラが増え続けていくことでアジ、サバ、イワシなど多くの小魚が減ってしまっては、海洋生態系にとって種のアンバランスという良くない影響を与えますので、適度な捕鯨量は非常に大事だと思います。

 同時に、天然漁業の分野では中国、韓国が日本海のみならず遠洋漁業でも捕獲量を大きく伸ばしてきている反面、日本の天然物の漁獲量は減っています。我が国の今後としては養殖漁業を推進していってもらいたいです。漁業組合のリーダー方に5年後の日本での需要と供給予測や自分たち漁業組合の将来像を考えていただき、国内の大手水産メーカーと早期に協力体制を整えて、収入増、そして、ロボット導入など技術の進歩からくる労働力の軽減を実現させることが大事だと思います。煮詰まっていく国内市場より、この先ますます拡大していくアジア市場に目を向けない手はありません。非常に高値であっても買ってくれていますが、もっと供給量、販売ルートを強化してもらいたいです。そして大手水産メーカーによる大型投資をしてもらうことが、日本の漁業に残された数少ない生きる道ではないかと思います。

 私も数は少ないのですが、東京の農林水産省に行って国内の養殖漁業の動きについて伺いました。様々なデータも把握し対策案もお持ちのようでしたが、どうして動きが出てこないのか。官僚に危機感がないのか。あるいは漁業組合や関係団体の現状打開への情熱的な行動がまだ十分ではないのか。中央が動き出すにはまだまだ時間がかかるようです。
 大手水産業者も国内にこだわることなく、海外でこうした事業が出来るのであれば取り組んでみてはと思いますが、私のような素人には全く分かっていない常識や壁があるのかもしれません。
 近大マグロが大きく化けてビッグビジネスになるのか? 内陸での養殖漁業が大きく伸びるので、たとえ海外に行かなくても、あるいは日本の沿岸で漁業組合と折り合えず漁業権がらみの厚い壁が取れないまま時間が経ってしまっていても大丈夫なのか?
 私が知る限り、農業は収入増や労働力の軽減化の動きが始まっています。高級野菜・果物の輸出額はまだまだ伸びていきます。一千万円、二千万円の年収の農家が増えます。それに合わせて、50歳代以下の新人農家が都会から戻ってきて農業に参入し始め、これから増えていく可能性は十分にあり、私たち九経連もこの動きをバックアップしていきます。
 他方、漁業に関しては政治家や農林水産省の動きはゆっくりとしているように見えます。農協の政治力については昔から耳にしますが、漁協の政治や選挙活動というのはあまり聞きません。漁業系の政治家というのも、昔は複数人おられました。
 こうした重大課題を政治家や漁協だけのせいにするのではなく、私たち民間経済団体も日本の漁業を守るためのアクションプランを考え、声を大にしてバックアップしていく動きを作っていく必要があるのだと思います。

2019.08.21

麻生 泰