麻生泰のメッセージ

九州から日本を動かす! Move Japan forward from 九州! (102)
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 新型コロナウイルスの勢いはすさまじく、一応落ち着いてきているようには思えますが、この「したたかなコロナウイルス」は気を抜けません。病院を経営している者として従業員、患者をはじめ皆の安全第一を強く願っています。
 今まで、一般の方々は医療現場の映像や実態をニュース画面で見ることはあまり無かったのではないかと思いますが、今回のようなケースでは、現場の医療スタッフにかかっているすさまじいプレッシャーや非常に高いリスクを見て取れると思います。
 私は現場の医療スタッフには本当に感謝していますし、激務に立ち向かいながらも、「会長さん頑張りますからね」と口々に私に応えてくれるスタッフにはジーンとくるものを感じ、誇りに思います。なんとか、このコロナの感染拡大が止まることを祈っています。
 以前から書いていますように、日本の公的、公立病院は病院数では日本全体の約20%、病床数では約30%を保有しています。そこには日本のお役所が持つ縦割り行政の文化が存在している上に、厚生労働省のほか文部科学省、総務省の合計三省が管轄官庁として存在しているのですから統廃合への調整は大変だと思います。マネジメント力不足の公立病院で発生した赤字補てんのために、毎年この財政難の国家予算の中から約8,000億円が補助金として投入されているのです。
 このコロナ対応のために新年度赤字の予算が大きく増額要求されることは間違いありません。患者がコロナへの不安で病院離れを起こしていますし、病床は緊急性の高い患者に対応するために一定数を空けているので、空床率が上昇していることなどが非常に大きなマイナス要因として挙げられます。
 以前から公立、公的病院での管理手法の改善について言い続けてきましたが、今こそ思い切った対策が必要で、これを機会に国は構造的な改善に向けた大きな改革への着手が必要なタイミングだと思います。各々の役所は自分たちの影響力の低下を懸念してなんとか現状の影響力を維持できるよう抵抗を強めていくと思いますが、これは一つの大事な決断、実行の時だと思います。
 日本の経済力は、GDPでいうと1990年では世界の14%あったのが25年間ほぼ横ばいで伸びず今や6%を切る状態です。反対に債務はGDPの倍以上であり、成熟国として少子高齢化という避けることのできない事実が目の前にある今、この「新型コロナウイルス」の危機に合わせて公立、公的病院全体の管理体制が大きく改善されることを願っています。

2020.05.22

麻生 泰